当科の診断・治療法のご紹介

主要な腎高血圧疾患の症候:このような症状があれば、受診・紹介下さい

診療案内

外来のご紹介

入院のご紹介

血尿を指摘されたら

尿に血液が混ざる状態を血尿といい、腎臓、尿管、膀胱など尿の通り道から出血することによって起こります。尿の色が赤~茶色に変色することを肉眼的血尿といいますが、尿の色に変化がなくても血液が混ざっているために健康診断で尿潜血をいわれることがあり、これを顕微鏡的血尿といいます。
これらは体質によるもので心配のない場合もありますが、腎炎などの腎臓病のほか、尿路感染症、尿路結石、腫瘍などによって起こることがあり、検査や治療をせずに放っておくと健康を害する原因となる場合もあります。
血尿は幅広い年齢層の方に起こります。検査異常のみで症状が出ないことが多いので病院を受診せずに様子を見てしまいがちですが、一度専門医に相談して種々の病気がないことを確認するほうがよいでしょう。判断に迷った時はいつでもご相談ください。

蛋白尿を指摘されたら

蛋白尿とは

腎臓は血液から尿を生成する臓器ですが、血液中の蛋白質は尿中へほぼ排泄されない仕組みになっています。その機構において異常がある場合や過度の負荷がかかった際に尿蛋白がみられます。

病的な蛋白尿と、病的ではない蛋白尿があります

健康な方でも少量の尿蛋白はみられます(150mg/日)。健康診断などで使用される試験紙の検査では正常量の尿蛋白は(−)と判定されます。そのため、(+)以上の結果がみとめられた場合には、尿の濃さにもよりますが尿蛋白が多い可能性、すなわち病的な蛋白尿の可能性があります。
ただし、過度な運動後や長時間の立位、高熱時などは一過性に蛋白尿がみられることがあり、病的な蛋白尿ではないとされています。

腎臓内科医による検査

尿蛋白をきたす疾患は腎臓病(腎炎、ネフローセ症候群など)や高血圧症、糖尿病や血液疾患と多岐に及びます。また、蛋白尿そのものが腎機能を低下させてしまうことも判明しており、腎機能が低下することを防ぐためにも腎臓内科医による精査をおすすめします。
受診の際には、過去に受けられた健康診断の結果がとても参考になりますので、ぜひお持ち下さい。

腎機能障害を指摘されたら

腎臓は主に塩分や水分の排出、老廃物の排泄を行なっています。腎機能障害は、これらの機能が低下したことを指しますが、その経過により主に2つに分類されます。
急性の経過(数時間から1週間程度の経過)で腎機能障害が進行するのが急性腎障害(AKI)、慢性の経過(数か月から数年)で腎機能障害が進行するのが慢性腎臓病(CKD)と呼ばれます。ただし、これらはあくまでも腎機能障害が生じていることを示す病名であり、それを引き起こす原因を調べる必要があります。原因を調べるには、これまでの尿検査結果、現在治療中の他の疾患、内服中の薬剤などの情報に加え、尿や血液検査、画像検査を行います。原因特定のために腎臓の一部を採取して調べる検査(腎生検)が必要になることもあります。
原因を特定したら、その原因に対しての治療を行います。AKIでは、原因が解除されれば、数日間で改善することが多いですが、数週間から数ヶ月必要となるものもあります。また完全には改善せず慢性腎臓病に移行することもあります。CKDは徐々に進行した障害なので、基本的な改善は期待できず、治療の目的は進行を遅らせることが目的となります。具体的には、血圧に対する治療、腎機能障害に合併する貧血や電解質異常に対する治療、そして食事療法も薬物療法とともに重要となってきます。

CKDが進行すると、塩分や水分の排出、老廃物の排泄がうまく出来なくなり、体内のバランスを保つことができなくなります。その結果、吐き気や食欲不振、全身の痒み、むくみ、貧血、精神状態の悪化といった症状・所見が出現するようになります。
この状態を末期腎不全といい、この状態が進行すると生命を維持できなくなるため、腎臓の機能を代わりに行う治療である腎代替療法を行う必要があります。腎代替療法には、血液透析、腹膜透析、腎移植があり、当院ではそのいずれも受けることが出来ます。

初診外来/専門外来

当科の初診外来は午前中に行っております。受付時間は午前8時30分~11時00分です。

当科を初めて受診なさる方で、血尿/蛋白尿・高血圧や腎機能低下などで、お困りのことがありましたら、現在診ていただいている先生に、紹介状を書いていただき、メディカルサポートセンターにFAXを送ってもらってください。メディカルサポートセンターで予約日・予約時間を決め、折り返し連絡いたします。予約の日に外来に来ていただき診察になります。詳しいことは聖マリアンナ医科大学病院ホームページの『外来受診のご案内』をご覧ください。緊急の場合はメディカルサポートセンターまたは救命救急センター受付へご相談下さい。

なお、腎炎、多発性嚢胞腎、透析療法選択外来、腹膜透析、腎移植、バスキュラーアクセスなどの専門外来も行っております。

高血圧と言われたら

日本における高血圧患者は4300万人程と推定されています。
これは、日本人の3人に1人が高血圧であり、まさに国民病といえます。
ここでは高血圧に関して3つの重要なポイントに絞って説明させていただきます。

1. 高血圧の治療目標は血管病の予防である

高血圧はどうしてよくないのでしょうか?
多くの方は高血圧だからといって特に症状はありません。
しかし、血圧が高いと血管を徐々に障害し、血管のトラブル(心筋梗塞や脳梗塞等)を起こすからです。
その結果、早くに亡くなったり、寝たきりになってしまいます。
ですから、高血圧を治療することの意味は、数年後もしくは数十年後の血管を守るということになります。
では、高血圧をコントロールできれば心筋梗塞や脳梗塞にならないかというとそういうわけではありません。血管を悪くする要因には高血圧だけでなく、タバコ、糖尿病、高脂血症、肥満などがあります。
そのため同時に糖尿病の治療や禁煙、やせることが欠かせません。
特に我々医療者も忙しい外来でなかなか禁煙指導まで行き届いていないというのが現実です。
将来の自分の血管を守るためにも高血圧、糖尿病の治療と共に禁煙、やせることを頑張ってください。

2. 家庭で血圧を測ろう

近年家庭で血圧を測ることが推奨されております。
これは、診察室の血圧より家庭血圧のほうがより予後を反映したという研究結果が蓄積されてきたからです。
しかし、これにもいくつかポイントがあります。
まず、血圧計は手首ではなく二の腕で測るものにしましょう。
手首式は誤差が大きくガイドラインでも二の腕で測ることを推奨しています。
少し値段があがってしまうかもしれませんが、まちがった血圧値をずっと記録すると、不十分または過剰な診断や治療につながるおそれもありますので、是非血圧計は二の腕で測るものをご購入下さい。
また測るタイミングも重要です。血圧は1日の間でも結構変動します。
例えばストレスがあるときや、運動時などには血圧があがってしまいます。
そのタイミングを記載して頂いても普段の血圧を反映していることにはなりません。
その為、血圧は朝か夜の一定のタイミングでリラックスした時に測っていただくことになります。
よくある例として、外出から自宅に帰ってきた際に、「疲れたから血圧が上がっているんじゃないかしら」と血圧を測ると、普段より血圧が高く、心配になってもう一度測定するとさらに血圧があがっていてパニックになってしまうということがあります。
血圧は同じタイミングでリラックスした時に測ってください。

3. やはり塩分制限は非常に大事 予防にも治療にも

日本人は世界的にみても塩分摂取量が多い民族です。
現在日本人は1日に10g以上の塩分をとっていますがこれを6gまで減らすことが目標とされています。
我々の診療でも、多量の降圧薬を内服しているにも関わらず血圧が高い方が、入院して塩分制限をすることで血圧がどんどん下がって降圧薬を減らすということをよく経験します。
そのため塩分制限も立派な治療です。また、年をとるにつれ血圧が上がるといいますが、以前行われた大規模研究において塩分摂取量が多い集団では年とともに血圧が上昇しますが、塩分摂取量が少ない集団ではほとんど血圧が上がらなかったと報告されております。
つまり、現在高血圧といわれていなくても塩分摂取量が多いと年と共に高血圧になるということです。
このため、高血圧と指摘されていなくても塩分を控えめにすることは高血圧の予防に重要です。
このことから、減塩は高血圧の治療にも予防にも重要だといえます。減塩は必ず慣れます。
減塩に成功すれば今まで食べていたものがしょっぱくかんじるようになります。
このような生活習慣はお子さんやお孫さんと世代を通じて引き継がれていくため、御家族全員で減塩に取り組むことが次の世代にもよい影響をもたらします。
皆さんも少しずつ減塩ライフにとりくんでいってみてください。

腎生検

腎臓から組織をとって調べる検査です。

腎臓

腎臓は、腰のあたりに左右に1個ずつあります。尿を産生する臓器であり、水分や電解質など体内のバランスを保っています。

img02

施行する意義

血尿もしくは蛋白尿もしくは腎機能障害があると、腎臓の機能が悪くなってしまい、腎不全になってしまう可能性があります。腎不全になってしまった場合は、生命を保つために、透析という治療が必要になります(もしくは腎移植)。腎臓の病気の診断、重症度、見通しを調べ、できる限り透析となることを防ぐために腎生検を行います。
(診断、重症度、見通しが必ず確定してわかるわけではありません)

合併症

合併症は、なんといっても出血です。施行する医師は皆、出血に対して細心の注意を払っておりますが、腎臓の中には血管が張り巡らされており、出血をまったくしないことは不可能と言えます。この出血のリスクのために入院して検査を行います。
輸血を要するほどの出血は全国的平均で1%程度といわれております。それより少ない可能性ですが、出血が止まらないためにカテーテル治療で血管を詰めにいくことがあります。

方法

img01

  1. 尿道カテーテルを入れます。(尿に流れ出る出血をすぐに検知すること、検査後安静のためです)
  2. うつぶせ(腹ばい)になり、背中から超音波をあてて、腎臓を見ながら針を刺す部分に麻酔を行い、腎臓を生検します。(息を吸ったり、はいたりして、息止めをしてもらいます)腎臓を生検する回数は2から5回程度です。途中で危険と判断した際は、十分に腎臓の組織がとれていなくても中止します。
  3. 腎生検が終わったら、手で圧迫したあと、仰向けになり、そのまま一晩仰向けのままで安静にしてもらいます。
  4. 翌日、超音波検査や診察で、歩行してもよいかを判断します。尿道カテーテルを抜きます。腎生検後4-5日後に退院ですが、患者様の状態によって日にちは前後します。腎生検後しばらくは(2-3週間)激しい運動を避けるようにしてもらいます。退院後に血尿が出たり、痛みが出現した場合は受診してもらいます。

血液浄化療法

血液浄化療法には、腎機能障害時の「腎代替療法」と、近年多彩な疾患に適応が広がっている「アフェレシス療法」とが含まれています。当院では、こうした治療の対応を『腎臓病センター 血液浄化ユニット』に集約して、専門チームが集中的に管理しています。
『血液浄化ユニット』は、大学病院別館3階に設置されている腎臓病センターの約半分を占めています。中心となる施設は〔透析室〕で、同時に16台分の透析やアフェレーシスを行うためのスペースが設けられています。その他、「腹膜透析外来」に使用する〔専用外来ブース〕が2つとそれに附属する外来設備、さらに腎不全患者管理のための〔検査スペース〕も併設されています。
『血液浄化ユニット』には、専任の腎臓内科医数名と専属ナース・臨床工学技士が配置されています。これらのスタッフが、他の腎臓内科医やコメディカルとも協力して診療にあたり、持続的血液濾過透析(CHDF)も含めて包括的に管理しています。
以上のように当科では、腎不全および血液浄化療法に関するあらゆる側面に対応可能な体制のもと、実践的な知識と技術を習得することができます。

A.血液透析

当科では、川崎市西部地区の患者さんを中心に、年間約70例の末期腎不全症例を維持透析に導入しており、そのうちの約9割は維持血液透析に導入されています。

末期腎不全のために維持血液透析に導入された患者さんは、全身状態が安定して透析条件設定が済んだあと、継続して通院する外来維持透析施設をご紹介した上で退院されます。透析導入症例の最近の動向としては、尿毒症状が顕在化する前に治療法の選択や準備の手術を前もって行う、いわゆる「計画導入」を積極的に勧めています。そのため、新規透析導入患者さんのなかで全身状態が著しく悪化する方の割合は減少してきており、入院期間も短期で済む傾向にあります。

また、当院では地域の基幹病院として、近隣で維持透析を施行されている多くの患者さんの合併症治療も広く行っています。様々な疾患で他科に入院する透析患者さんについても、血液浄化ユニット専任スタッフが各科の担当医と連携を取りながら、入院中の透析治療を適正に管理しています。

急性腎不全、高カリウム血症、薬物中毒など緊急透析を要する患者さんも救急外来を通して行っております。近隣の病院で診断後緊急透析が必要だと判断され、搬送された場合などは24時間血液透析が可能です。
なお当院では、急性期病院という施設の性質上、安定した外来維持透析患者さんの通院透析は行っておりません。

B.アフェレシス

アフェレシスとは元々、血漿交換療法と呼ばれていた治療法で、血液から血漿成分を分離し、その血漿から体外循環によって病気の原因となる病因物質(抗体・サイトカイン・中毒物質) を除去する治療法です。最近では血漿浄化だけではなく、血液吸着や血球浄化療法も発達してきております。具体的には血漿そのものをすべて浄化してしまう血漿交換、敗血症によるエンドドキシンを吸着するエンドトキシン吸着療法、免疫疾患や神経疾患に対する免疫吸着療法、高コレステロール血漿や閉塞性動脈硬化症に対するLDL吸着療法、炎症性腸疾患や関節リウマチに対する白血球吸着療法などを行っています。

アフェレシスはどこの病院でも簡単にできる治療ではなく、専門的な知識と施行できる環境が必要となります。当科では総合病院、さらには救命センターを有する病院の血液浄化部門として色々な疾患に対するアフェレシスを提供しております。劇症肝炎、ANCA関連血管炎など緊急を要する血漿交換から、待機的に行う血液型不適合生体腎移植に対する抗体除去療法まで幅広く受け入れ可能です。現在、当科では年間150件近くのアフェレシスを施行しており、腎臓内科医の習得すべき知識の1つとして、研修医や後期研修の場で積極的にかかわっていただきます。

バスキュラーアクセス

血液透析患者にとって、バスキュラーアクセスは必要不可欠なものです。バスキュラーアクセスの作成から管理は、全ての血液透析患者にとって避けては通れない道です。しかし、医療者側に目を向けると、多種多様の医師が作成・管理に関与しています。作成は透析医療に精通していない外科で、管理は外科もしくは放射線科など、多くの施設では日常透析管理をしていない医師に頼ることも多いのが実情です。
当科では血液透析患者管理の一環として、バスキュラーアクセス作成のための手術から、管理のためのバスキュラーアクセスインターベンション治療まで、腎臓内科医師が自ら手術、カテーテル治療を行います。初期研修では、手術、カテーテル治療に参加して頂き、理解を深めます。後期研修では、血管超音波も含め、自分自身で一通りの手技が出来ることを目標とします。

A.手術

血液透析を行うためには、1分間あたり約200ml/minの血液を持続的に透析回路に送り出す必要があります。その際、血液透析用の出入り口が必要となり、これをバスキュラーアクセスと言います。バスキュラーアクセスの種類としては、①動脈と静脈を吻合した自己血管内シャント ②動脈と静脈の間に人工血管を介して、人工血管を穿刺する人工血管内シャント ③動脈を皮下に移行させる動脈表在化術 ④カフ型カテーテルなどがあります。内シャントは動脈から静脈に血流を逃がすため、その分心臓に負担がかかります。そのため心機能が悪い患者さんでは内シャントを作成することで心不全を起こす可能性があり、心機能が悪い患者さんの場合には動脈表在化やカフ型カテーテルをバスキュラーアクセスとして選択します。

[1]自己血管内シャント

自己血管内シャントとは静脈と動脈の一部を人工的につなぎ合わせたもので、患者さんの血管状態にあわせて適切な動脈、静脈を選択し内シャント造設します。一般的に前腕の橈側皮静脈-橈骨動脈、尺側皮静脈と尺骨動脈を吻合する方法などがあります。

[2]人工血管内シャント

内シャントに適した表在静脈がなかったり、吻合困難な場合は、人工血管を用いて内シャントを作ります。人工血管の種類としてはExpanded polytetrafluoro‐ethylene(E‐PTFE)グラフトやポリウレタングラフトを主に使用しています。通常は上肢に移植しますが、吻合する血管がない場合は大腿部に移植することもあります。

[3]動脈表在化

動脈表在化は上腕動脈を表在化する場合と大腿部の動脈を表在化する場合があります。この場合、脱血用としてのみ使用可能なため、返血用の静脈があることが条件となります。心機能が悪く内シャントや人工血管を作成することで心不全を来す可能性がある場合、内シャントに適した静脈がない場合、静脈が細くて吻合ができない場合などに行います。

[4]カフ型カテーテル

動脈表在化と同様に、心機能が悪く内シャントや人工血管を作成することで心不全を来す可能性がある場合、動脈表在化作成するも返血用の静脈がない場合などに行います。右の頚から血管の中に入り、出口は右胸になります。透析のたびごとに針を刺さなくてよいのですが右胸から約15cm管が出ています。お風呂に入るときには特殊な袋をつけたり消毒をしていただいたりする必要があります。人工物のためつまり易い、感染しやすいというデメリットがあります。

B.バスキュラーアクセスインターベンション治療

長期の透析歴や患者の高齢化に伴ってバスキュラーアクセス不全(狭窄や閉塞)が増えています。特に内シャント不全の場合はシャント機能の長期の維持を目的としたバスキュラーアクセスインターベンション治療(Vascular Access Interventional Therapy:以後VAIVTと略す)が行われます。インターベンションとは、心臓、血管、肝臓、脳、消化器、泌尿器などの病気に対する治療法の一つで、カテーテルと呼ばれる細いチューブを血管内に挿入し治療を行ないます。
当院では、造影剤を使用したVAIVTのみではなく、造影剤アレルギーのある方や残腎が比較的保たれている場合などは、炭酸ガス造影下でのVAIVTも行っています。

[VAIVTの種類]

□ バルーンによる血管拡張術(PTA)

狭くなっている部分でバルーン(風船)を膨らませ、内側から血管を押しひろげます。

□ 血栓除去術

発症後数日以内の血栓によりシャントが閉塞した場合、カテーテルを用いて血栓を吸い取ります。

 

現在VAIVTは全国的に件数の増加している治療であり、当院でも件数は増加の一途をたどっています(年間約300件)。
当科では腎臓内科医自身でVAIVTを施行しております。VAIVTは腎臓内科医の習得できるとよい技術の1つとして、研修医や後期研修の場で積極的にかかわっていただきます。
またブラッドアクセスの超音波診断・治療も行っており、超音波下でのVAIVTも取り入れております。

腹膜透析

腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)は1日4回の透析液の交換を行い、24時間腹腔に透析液を貯留するCAPD(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis)が行われていましたが、最近では機械を使用し、自動的に寝ている間に透析液を交換するAPD(Automated Peritoneal Dialysis)という治療も行われています(図1参照)。

img03

また、我々の施設では、主に残存腎機能に合わせた透析処方を行うIncremental PD(Incrementalは「徐々に増加する」という意味)で導入しています。
これには交換回数を最低限(2~3回/日)にすることで患者さんのQOLの改善が図れるという利点があります。
PDは在宅治療であるため、体調や仕事、生活様式を考え、医師や看護師と相談して、患者さんに適した方法を選ぶよう説明しています。また、従来PDの手術は外科医が行い、手術日から透析を開始していましたが、最近では腎臓内科医が腹膜透析用の管を皮下に埋没させておく手術(段階的腹膜透析導入法:Stepwise initiation of peritoneal dialysis using Moncrief And Popovich technique:SMAP)を行い、待機的にPDを導入しています。
これにより患者さんとの信頼関係が構築され、計画立てたPD導入ができ、さらに入院期間の短縮につながります。現在、日本では9255人(2014年末の統計調査より)がPDを行っております。これは透析患者全体でみると2.9%とかなり少ないのが現状です。
しかし、当院では腎不全患者さんの10~15%がPDを選択しており、徐々にPD患者数が増加しております。2016年3月末までに30名の患者さんをPD外来で管理しており、最近では2ヶ月に1〜2名程度の割合でPDを導入しています。血液透析との併用療法を行っている患者さんは2名で、週1回当院の血液浄化ユニットに通院しております。そのなかには腎移植を待機している患者さんも数名います。
このようにPDは包括的腎不全治療の一翼を担う療法として徐々に認知されています。
PDは自分の体(腹膜)で腎不全に対抗することができる唯一の透析療法であり、残存腎機能がなければできない透析療法です。
また、残存腎機能を保持する透析であるため「PD First:まずはPDで!」という考え方も少しずつ広まっており、在宅医療を推進する国の方針からも、今後注目される透析療法と考えられます。

行っていること

  • 多施設共同臨床研究(EARTH研究)
  • 国際多施設共同臨床研究(PDOPPS)
  • PD患者会(年1回)
  • 訪問看護ステーションに対してのPD学習会
  • 日本腹膜透析研究会、日本透析医学会での発表
  • 国際学会での発表
  • 外科的手技を学ぶためのセミナーへの参加

腎移植

腎臓・高血圧内科では腎泌尿器外科と協力し腎移植の診療に携わっています。ご存じの通り日本では移植件数が圧倒的に少なく、特に内科医が移植に携わる機会が少ないことが指摘されています。しかし腎移植ドナーもレシピエントも術後急性期を過ぎた長期的な管理は、外科的合併症等を除くと基本的には通常のCKD診療と同様であり、腎生着率の向上や心血管疾患予防等を含む生命予後の観点からは内科的な細かい管理を行うことが望ましいとされています。そこで、我々内科も積極的に腎移植を診療し、内科、腎泌尿器外科の垣根を越えて、協力し合いながら一緒に診療を行っています。
腎臓内科医として、末期腎不全の患者の方に治療のオプションの1つとして、移植を提示するためにも、移植医療を知ることは重要であり、若手医師教育の観点からも望ましいと考えます。実際に腎臓・高血圧内科として移植外来を標榜し、責任を持って診療に当たっています。腎移植から一般CKD診療に関する知識を得ることも多く、包括的腎不全治療の一つとしての腎移植という視点はもとより、腎移植から知識を深める包括的腎不全治療として日々研鑽しております。

このように内科が主体的に腎移植医療に関与している施設は全国でも非常に少ないのが現状でありますが、同じ病棟内に、慢性腎不全保存期、透析、移植患者が入院し患者同士の意見交換が行える環境があり、腎代替療法を総合的に診療できる、これが当腎臓病センター/腎臓・高血圧内科の最大の特徴の1つであります。

診療内容

腎移植ドナー(提供する側)の術前評価、術後フォロー

術前評価

イヌリンクリアランスによる正確な腎機能評価、心血管病の評価、CKDリスクファクター(高血圧、蛋白尿、耐糖能障害等)の検索・管理、その他(呼吸機能、癌スクリーニング、感染症除外など)、を行い、総合的に移植許可判定を内科主導で行います。

周術期管理

腎臓・高血圧内科/コンサルトチームに在籍中は、入院移植関連患者の腎泌尿器科との併診管理を行います。生体ドナーのメタボリック関連合併症の治療やアドバイスを行います。

術後フォロー

術後ドナーは腎機能が術前の約7割強程度まで低下し、定義上は、いわゆるCKDとなります。しかし、高血圧や蛋白尿などのリスクが無ければ、ほとんどの方の腎機能はその後安定します。実際、欧米から大きな研究が発表されて、長期の腎、生命予後は一般人口と比較しても差がないことが示されました。しかし、なかには不幸にも腎提供後透析導入となる患者様がいるのも事実です。さらに、近年では腎提供後ドナーは、ドナーになり得るような“健康な”一般人口と比較すると、末期腎不全への進展や心血管疾患発症が多い可能性が指摘されています。そこで当科では、術後ドナーの方の腎、心臓血管病ドックと称して、術後CKDの管理を重点的に行っています。内容は、提供後イヌリンクリアランスによる正確な腎機能評価、心血管病の評価、CKD合併症評価・管理、精神面の評価等を行い、患者様へのフィードバックを行っています。その他、通常の定期的フォローを内科が主体として行っています。

腎移植レシピエント(移植を受ける側)の術前評価、術後フォロー

術前評価

透析・慢性腎不全関連合併症精査、心機能評価、悪性腫瘍、感染症等全身精査を行います。またワクチン接種の徹底を行っています。

周術期管理

腎臓・高血圧内科/コンサルトチームに在籍中は、入院移植関連患者の腎泌尿器科との併診管理を行います。主にメタボリック関連合併症の治療やアドバイスを行います。

術後外来フォロー

血圧、蛋白尿、糖尿病、脂質異常症、生活習慣病の管理・治療、免疫抑制剤の調整、透析関連合併症の加療継続を行います。泌尿器外科と交互に診察を行うシステムを取り入れています。

移植腎生検

protocol biopsy

腎移植後は臨床的な兆候を呈さないsubclinical rejection(SCR)や、拒絶やカルシニューリン阻害薬(CNI)の毒性、高血圧や脂質異常症、動脈硬化性変化などが原因として考えられている慢性移植腎症(CAN:以前の名称)などが数~数十%の割合で存在し、移植腎機能の長期予後に悪影響を及ぼすと言われています。
そのため、腎機能が安定していても、術後2ヶ月、12ヶ月の時点で定期的に腎生検を行います。

episode biopsy

腎機能の悪化、血尿や蛋白尿などの腎炎所見がある時、CNI毒性が疑われる時などに緊急で行う腎生検です。急性拒絶反応、免疫抑制剤の毒性、CAN等を迅速で調べ、速やかに対応しgraft lossを防ぎます。

行っていること

  • 移植カンファレンス(症例呈示、ミニレクチャー)
  • マリアビタミン(大学主催の市民講座)
  • そら豆の会(患者会が主催、医師・看護師・コーディネーターからの講義)
  • 腎移植に関連する臨床研究
  • 各種学会発表(日本移植学会、日本臨床腎移植学会、腎移植内科研究会)

取得できる資格

  • 日本臨床腎移植学会 腎移植専門医
  • 日本移植学会 移植認定医

嚢胞(のうほう)腎外来

多発性嚢胞腎

腎臓内の嚢胞(内容は液体成分)は通常、数個であれば正常でも見られ、また加齢によっても嚢胞の数は少し増加します。
しかし、多発性嚢胞腎は嚢胞が増えて、大きくなり、腎機能の低下を起こす遺伝性疾患です。原因は腎臓の尿細管の繊毛にあるPKD1とPKD2というセンサーが異常を起こして、嚢胞液分泌の増加、細胞増殖を起こし、嚢胞が拡大していきます。

治療薬トルバプタン

多発性嚢胞腎の嚢胞の拡大を抑制する薬は、今まで画期的なものはありませんでした。世界15か国で行われた多発性嚢胞腎に対するトルバプタンの内服試験で嚢胞の拡大抑制、腎機能低下の抑制の結果が出たことから、2014年3月にトルバプタン(商品名サムスカ)による治療が日本で保険適応となりました。その後も同薬による嚢胞の拡大の抑制などの報告がなされております。当院の外来では患者様と相談して適宜トルバプタンの適応や管理指導を行います。

動脈塞栓治療(TAE)

嚢胞腎が大きくなると腹部の膨満症状や腰痛、胸焼け症状などを起こします。嚢胞腎の拡大による影響が原因であった場合は、動脈を塞栓(詰める)する治療で症状が改善する可能性があります。当院では、放射線科と相談して治療を行うことを検討致します。腎臓に対する動脈塞栓症状は、透析を行っている患者様が基本的には対象になります。

遺伝カウンセリング

多発性嚢胞腎は遺伝の病気であり、遺伝的な悩みを持たれる方も多いと思われます。遺伝子検査の検討やカウンセリウングの必要など検討したい際は当院担当医と御相談ください。嚢胞腎外来もしくは腎臓内科から遺伝カウンセリングの外来を適宜御紹介致します。

 

現在、土曜日第4週に専門外来の嚢胞腎外来を行っております。

透析療法選択外来

外来日:第2土曜日午前、第4土曜日午前

当院ではこれまで腎不全の進行した患者さんに対して、「外来受診時に医師が腎移植や透析療法などの腎代替療法について説明を行う」、「腎看護専門相談で看護師が説明を行う」、「慢性腎臓病(CKD)教育入院中に医師や看護師が説明を行う」、あるいは「年1回腎代替療法に関する市民公開講座(腎臓病教室)にて説明を行う」、などで腎代替療法の情報提供を行ってきました。
しかし、医師から「外来では十分な情報提供が行う時間が確保できない」といった意見や、患者さんから「看護師だけではなく医師の意見も聞きたい」、「入院が難しい」、「予定が合わず市民公開講座に参加できない」、「情報が多すぎて理解が出来ない」、「わかりやすく時間をかけて説明してほしい」などといった要望を頂きました。

そこで2013年5月より医師・看護師が同席して行う「透析療法選択外来」を開始しました。この外来は可能な限り患者さんのご家族にも同席していただき、患者さんに最も適した治療は何なのかを医師・看護師・患者さん・ご家族の皆さんで一緒に考える場としています。 外来日は第2土曜日の午前中で1日3組(1組あたり1時間程度)までとしております。透析療法選択外来を受診し、腎代替療法を開始した患者さん・ご家族の多くから「自らの意思で治療方法を選択することができた」、「ゆっくりと納得のいく説明を聞くことが出来た」との意見を頂戴しております。また、この外来を受診することで計画的に透析の準備を行い、適切な時期に治療を開始することが可能となります。さらにこの外来では医師、看護師が同席して説明を行うことで身体的、精神的、社会的な疑問にその場で対応でき、患者さんが抱える多くの不安が解消できると考えております。受診を希望される患者さんは遠慮なく、外来担当医師にご相談ください。

コンサルテーションチーム

コンサルテーションチームは2008年10月に発足、指導医・後期研修医数名で構成されています。主な業務は以下の3つです。

  • 入院中の患者様の当科宛診療依頼への対応
  • 腎臓・高血圧内科の関連する緊急患者様への初期対応(外来・入院ともに)
  • 腎泌尿器外科と連携し、腎移植予定および腎移植後のレシピエントの患者様およびドナーの方に関する管理

上記の中で、他科に入院されている方であれば、必要に応じて兼科という形で経過のフォローや必要な検査、薬剤選択、体液量管理等についてのrecommendationを行っています。
また、当科での管理が必要と判断すれば、当科への転科とさせていただく場合もあります。

コンサルトは全科から頂きますが、整形外科、皮膚科、耳鼻科、精神科などや、内科の中でも循環器内科、代謝内分泌内科、リウマチ膠原病内科、消化器・肝臓内科など、腎疾患を合併しやすい疾患を扱う科からの依頼が比較的多いです。
また、同じ腎臓病センター内の腎泌尿器外科とは、腎移植患者様や腎摘後の症例で、カンファレンスなどを通じ、垣根なく情報共有しています。

コンサルトの主な内容としては、①慢性腎臓病(CKD)管理、②急性腎障害(AKI)、③体液・電解質異常、④尿所見異常、⑤その他(血圧管理、腎生検依頼、腎疾患合併妊娠など)があります。
基本的にベッドフリーで、指導医と日々一緒に回診・ディスカッションを行い、頻度の高い病態から稀な病態まで、多数の症例を経験することが出来ます。中には症例報告に繋がるような貴重な症例もあります。
また臨床実習(BSL)の医学生も、チームの一員として交えるようになり、基礎的な点を繰り返し確認することもできるようになりました。

慢性腎臓病教育入院

腎臓病の教育入院について

当院では腎臓の機能が低下している患者様に1週間の慢性腎臓病教育入院を行っております。

目的

  1. 慢性腎臓病の知識を深める
  2. 腎臓病に伴う全身合併症を調べる
  3. 食事療法を体験する

上記を施行することで腎不全進行を抑制することを目的としています。

具体的には各種採血・蓄尿検査での腎炎および慢性腎不全の評価、食事指導、腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)に関する情報提供を行っております。
これらの検査結果をもとに、患者様個々の状態に合わせて治療方針を相談させていただきます。

入院費用は、慢性腎臓病に対しての教育入院費として国が定めた医療費となり、自己負担3割で10万円前後、自己負担1割で4万円前後のご負担となります。

その他ご不明な点がございましたら、気軽に外来担当医にご相談ください。